4/23 DevLOVE行って来ました!

DevLOVE行ってきました!今回もとっても楽しかったです。今回は「創発、再び。−世界は変わった。デベロッパーはどうか?− 」と題して、2011/2/17〜18に目黒雅叙園で開催されたDevelopers Summit 2011(通称:デブサミ2011)の2/18朝一の並行トラック4セッションを縦並びに変えて再演いただくと言う、なんとも贅沢な内容でした。また、この横並びを縦に変えたことから「縦サミ」と称され、多くの注目と期待を集め暴風雨の中200名満員御礼で開催されました。


では、今回も感想と「突撃!渾身会」の模様をつづりたいと思います。


【セッション#1】
これからのRIAの話をしよう
〜システムの利用者と開発者にやさしいUXとUI設計について〜
スピーカー:嵩原將志氏

兎に角情報が満載でした。3セッション分の内容は優にあったのではないでしょうか。自社事業でも思いっきり重なるお題だけにふむふむというものもあれば、耳の痛いものもありました。良い講演は自分の中でもやっとしてたものや、本当はそばにあったのに見つけられていなかった事象や機会を、言葉や体系として腹の底に落としてくれます。この講演でもぼこぼこと音を立てていろんな言葉やアイディアを頂戴いたしました。その中でも印象に残ったものは以下の通りです。

  • システムは助力なしに使えるものでなくてはならない
  • システムは真の仕事をより単純により優しくより楽しく行うことを支援しなくてはならない
  • UXデザイナーは国内には数えるほどしかいないので雇うより適正がある人を育てる
  • ER図やDFDでは感情を表現できない
  • RIAテクノロジーの進化はマルチデバイス化の加速とともに新しいステージを迎えている

どれも印象(私の腹の中に落ちたものなので咀嚼後です)ですので、嵩原さんの言葉通りではありません。


【セッション#2】
なぜソフトウェアアーキテクトが必要なのか
〜未知なるソフトウェアに形を与えよ〜
スピーカー:鈴木雄介
講演資料:http://goo.gl/fYian

非情に理路整然としたセッションでした。ソフトウェアとはなにか、アーキテクチャとはなにかについて冒頭にしっかりご説明いだけたので、広義・狭義で指し示す対象が異なったり、聞き手によって想像されるものが異なったりして、このシーンでこの言葉はどういう意味でつかわれたんだろうと言う迷いを覚えることはありませんでした。見習いたいです。特に講演資料のP.14はとても分かり易かったです。


マネージャーとリーダーシップについて語られたところも非常に興味深かったです。個人的にはお話の内容は、持っているまたは求められる資質や素養であったり、求められる特性であると考えたため「マネジメントとリーダーシップ」か「管理者と牽引者」もしくは「調整・調和と挑戦」と解釈しました。どちらの場合もリーダー/マネージャーと言った肩書に求められるものでなく、ソフトウェア開発チームにおいて必要とされる要素であり、一人で行えるのであれば一人で、複数人なら補い合って実現していくものと理解しました。また、肩書もしくは個人にフォーカスした場合は、特性を理解することが重要であると理解しました。「調整と挑戦」がバランスよく行える「リーダー」になりたいですね。


上記以外でこのセッションで印象に残ったものは以下の通りです。

  • アジャイルマネジメントとはズレを許容しながら、正しさを探索するテクニック
  • すべてのマネジメントはアーキテクチャ設計を前提とする。またアーキテクチャが安定するならマネジメントも安定する
  • 現在のソフトウェア開発では、新しいアーキテクチャによる効率化が、繰り返しの効率化を上回ることもある*1
  • アーキテクトは父、マネージャーは母*2
  • 重要なのはユーザーとビルダー(たとえば開発者)の関心事をリンクさせる枠組みがプロジェクトアーキテクチャ*3
  • プロジェクトアーキテクトの創造
  • 暇なドメインエキスパートには気をつけろ!(長井秀和風)
  • 3.11以降品質に対する考え方が変化した「完璧ではなく最適な対応を考える」

アーキテクトについて渾身会で鈴木さんに突撃!しましたので、後述します。


【セッション#3】
プログラマが知るべき、たったひとつの大事なことがら
スピーカー:和田卓人氏

和田さんとは2011/01/27のDevLOVE「我々は、テストで世界を繋げる」のテーブルディスカッションでご一緒させていただいて以来、DevLOVEやAgile Japan 2011などでお見かけしご挨拶させていただいていました。DDDの講演でも参加者を引き付けるのが上手だなぁと感心しておりましたが、今回はたくさんの感動をいただきました。スーパーマリオ3の話で一気に会場は引き付けられ、私も大笑いさせられました。が、2005/04/25のお話のときは泣きそうでした。


和田さん自身のお話しだったので、私がとやかく解釈する必要はありませんが、いくつか印象に残ったことを書き留めます。

  • まずはやって見せる*4
  • アプトプットが増えるとインプットが増える
  • プログラマーは自分にイノベーション
  • TDDにこだわる理由は自分一人で始められるから
  • スキルは練習すれば上がる*5
  • コメントはあえてコードにしていないことを書く。コードにしていない理由は書かないと伝えられないから。


【セッション#4】
ハッカー中心の企業文化を日本に根付かせる
スピーカー:よしおかひろたか氏

「生涯一プログラマ宣言」のよしおかさんの講演は今回も面白かった、もとい楽しかったです。途中で向こうの世界に行きかけたのは素敵でした。身も蓋もないとおっしゃって「最高のプログラマは最高のプログラマと働きたがる」と引用されていましたが、できればこの件は質問しておけばよかったとちょっと後悔しています。


質問しなかったのは別に私がシャイなわけではなく、ぶつけたい質問がこのセッションの本質から外れていると思ったのと、引用理由から察するにこの言葉は額面通りに受け取っていいのではないかと感じたからです。私は最高のプログラマとは「最高のプログラマになろうとしている人」と「最高のプログラマを育てようとしている人」の集合と理解したかったのですが、DeNAさんを引き合いに出された瞬間は「最高のプログラマONLY」なにおいを感じたので、どうお考えなのか聞いてみたかったです。残念。


一番印象に残ったことはよしおかさんご本人なのですが、内容で印象に残ったことを書きとめます。

  • if (勉強会->開催メリット > 勉強会->開催コスト) { 勉強会->開催(); } # “よしおかの勉強会第一の法則”
  • 知識は勉強するだけでも身に付く
  • スキルは具体的な作業をして身につける。スキルと知識の違い。体験や訓練なくしてはスキルは身に付かない
  • よしおかさんの感覚ではInnovatorは5%


【突撃!渾身会】

渾身会もとっても楽しかったです。序盤は@amameciさん、@krakeneyeさん、@ywindishさんと同じテーブルでスクラム談義に花を咲かせてました。みなさん真剣にいろいろなことを考えられていて素晴らしいです。たまたま囲んだ席でも熱血率100%のDevLOVEだからこそ、いつも熱いんですね!!


後半は同じテーブルにセッション#2の登壇者である鈴木雄介さんが合流してくれました。以前から自社でバズワード的に「アーキテクト育成」を課題としていましたが、アーキテクトとは直訳通り設計者なんだろうか?設計できる人を育成しなくてはいけないんだろうか?という、目標とするにも説明するにも輪郭がぼやけていた、まさに前述のもやっとした状態でした。今日のお話の中で育成すべきアーキテクト像がだいぶ鮮明になったことに謝意を伝えるところからスタートし、いくつか質問をぶつけてみました。


Q:アーキテクトはどのように育成していくのか?
A:非常に難しい。IBMやMSは上手にやっているが、ワールドワイドでアーキテクト候補にアーキテクトをメンターとしてつけている。アーキテクトはアーキテクトしか育てられない。


Q:一つのプロジェクトにアーキテクトはどのくらいの割合で参画するべきか?例えば10人10か月100人月1〜2億円程度の規模のWEB系開発だとどう思われる?
A:その規模だと専任では厳しい(もったいない)と思う。7,8千万〜1億規模なら掛け持ちしなくては効率が悪い


Q:アーキテクトはどのくらいプログラムやコーディングについて理解すべきか?業務理解に長けている方が良いか?
A:どちらにも長けているに越したことはないが、いざとなればコーディングも一人でやりきれるくらいの覚悟と自信が無くてはいけないと思う。ただし自分一人では限界があるからみなさん手伝ってください、だと思う。


この質問の直後くらいに同じテーブルに@kazeeechiさんも加わり3人で、アーキテクトをどう作るかについて話しました。私が自社での経験から「プログラマーからアーキテクトになるより、業務理解に長けたマネジメントの人間が自分で片を付けるしかない状況で本を片手にプログラミングを覚えアーキテクトとなるステップ」について切り出し所、「いいことだと思うし、ありだと思う。しかし、プログラマーとしてたたき上げてきた人間を業務のある現場に叩き込んで、コミュニケーションスキルを身に着けることでアーキテクトになるステップだってある。お客さんと話さなくてはいけない機会はいくらでもあるのだから。」とのご意見もいただきました。


こうやってまとめてみても濃いお話を酒の席でもうかがえて本当に幸せです。


鈴木さん!アーキテクトのコミュニティを作るのならぜひ何か手伝わせてください!!


最後に、今回のDevLOVE裏方チームの皆様、登壇者の皆様、参加者の皆様本当にありがとうございました!
私事ながら、今日は部下を2人連れて行きました。2人ともとても喜んでくれました。私の4tateも着実に進行中です!

*1:イテレーションイノベーションが凌駕する場合があると受け止めました。イテレーションは重要であるが、固執して変化を受け入れないことがリスクであることを認識すべきと理解しました。

*2:母は預言者(オラクル)かと思ってましたww

*3:BDDやDDDに通じますね

*4:私は自分にできないことは人に教えられないし、人から頼られないとの考えから同じアプローチをしてきましたが、根底にあるモチベーションは似て非なるものなんだろうなぁと感じました

*5:この後のよしおかさんのセッションにも登場しますね