技術者が楽しい会社の条件

ツイッターのタイムラインに「技術者が楽しい会社」という言葉が流れてきたので、思ったことを綴ってみる。今日は思ったことをただただ綴るので常体で。


とりあえずシャレで「給料が良くて、勤務時間が短くて、休みが多い」って言うのは無しにして。。。


そもそもこの解には完全な答えは存在しないと思う。技術者と一括りにしても育った環境も価値観も違うので万人に共通する解は難しい。かと言って最大公約数では平均満足度も低いだろう。また、この問いは技術者ではなく社員と読み替えても良いと思うので、満足度の総和とそれによるアウトプットの総和が最も高くなるための解(またはそれに近いもの)が何かを考えてみたい。


多少のコンテキストは設定しないと解を導きづらいので、まず会社側には何らかの経営理念や経営方針があるものとする。また、これは営利目的ではなく、金銭的利益はより大きな経営理念実現のための資源と考える。(利益原理主義に集まっているなら個々にとっての「楽しい」も利益のはずだから)次に、社員側にはキャリアプランでも帰属意識でも副次的モチベーションは多少なり重要で、「食うためには稼がにゃぁ」はありつつも、同じ食うためなら好きなこと、得意なこと、楽しいこと、アウトプットの大きなことをしたいと考えていると設定する。


さて、前提が2つ揃ったところでようやく本題だが。まず、何よりも不幸なことは会社が社員にして欲しいこと(成果だけでなく行動や思考も)と、社員がしていること若しくは社員が会社にしてもらいたいと思っていることにギャップがあることだ。多少のギャップはやむを得ないが、そもそもベクトルが違ったり、「この会社は何をしたいのか分からない」「社員が何を考えているか分からない」なんてなった日には目も当てられない。※反省、反省。。


ここでもあえて前提を加えるが、高低は別として経営層、マネジメント層、一般職層では目線が違うことを考慮しなくてはならない。高尚であるとか一般的であるとかは抜きにして、経営理念の実現と言う観点からは上職者ほど目線が高いはずだ。そもそも見ている(並びに見てきた)ステージも違うわけだし、与えられているミッションも違うのだから、これは当然だし、そうでないとすれば人選ミスだ。


では、このギャップを取り除くもしくは埋めるには何が必要か。解の一つとして職務にフォーカスしてみたい。社員が職務を全うし得られる対価は給料だ。これは原理原則だが、なぜその職務を任ぜられているのか、その給料はどこからなぜ得られたのか、これをはっきりさせる必要があると思う。


レシピ通りの分量の野菜を切って、盛り付けて、客のテーブルに運べば材料費と手間賃と利益で580円のサラダ代が得られる。そんな経営理念はまずないだろう。野菜の切り方ひとつにも食べやすさや素材を生かすために手でちぎったり、予め冷やした皿に盛りつけたり、お客が自分の好みで味を調整しやすいようにドレッシングは別で用意したり、清潔な身だしなみと明るい笑顔で「お待たせいたしました」と丁寧に配膳したりするのは、食と言う文化を通じてお客様や地域社会に幸せや笑顔と言った付加価値を提供したいからだろう。


付加価値ではやや物足りないが、社員一人一人のすべてのアウトプットがどんな価値を創造しているか、どんな価値を創造してもらいたいのかをはっきりさせることは最低限の土壌だと思う。


なんか脈絡なく要点から離れてしまった(なぜサラダ!?)ので、強制的に引き戻すが。。この価値創造のために会社は社員に何をしてあげられるか、社員には何を覚えて欲しいのか、ここを鮮明にするのが一つの解と考える。技術職者に対してであれば、会社で経験させてあげられること(経験できること)、会社が教えてあげられること(教育でも実務でも)、会社が教えないこと、自己学習してほしいこと、これらを明確にすることは非常に重要だと思う。


さらに付け加えるなら、会社が教えないもしくは教えてあげられないことと、自己学習してもらいことに対して、どの程度支援できるかも重要だと思う。たとえば20%ルールのように自己学習できる時間をしっかり確保したり、資格や技能を身に着けるための資金援助をしたりでも良いと思うが、会社が社員に成長を期待する以上、無関係を決め込むわけにはいかない。仮に無支援なのであればそれを明言すべきである。


なんか、脈絡なく説得力に欠けたが、、会社目線でまとめると「鮮明」をキーワードに以下の通りだ。


一、どんな価値を創造したいか鮮明にする
一、会社が社員に教えられること、教えられないことを鮮明にする
一、自己学習に期待する場合、どのように支援するか鮮明にする


これらが鮮明になったうえで、社員は正しく会社を評価(勤めたいのか否か)できるだろうし、コンセンサスが取れた上での社員のアウトプットを見て会社も正しく社員を評価できると思う。


鮮明にしなくてはいけないことは、基本的なことを含め上記以外にも多々あるし、上記だけが今回の問いに対する解とも思っていない。私は今は経営者だが10年以上のサラリーマン経験もあるので、自戒も込めて「会社と社員の成長」にフォーカスして綴ってみた。


書き終えて読み直してみると、「何を当たり前のことを」と自分でも拙いなぁと反省するが、常に万事が初心である、「初心忘れるべからず」ということで、しばらくはこのエントリは消さずに置いておこう。


※TLに流れたこのワード自体はここに書かれているような前提や解はクリアしたうえで、「技術者」にフォーカスされているので、カウンターエントリではありません。